研究内容

生体機能制御に関する研究

医療,リハビリテ−ションなどに応用可能な生体の機能制御 法の研究を行うとともに,生体の活動情報を生体自身にフィ−ド バックして自らの活動の制御を学習的に行う方法を研究し,基礎 的な心理実験や自己治療,自己訓練などをう行っている。そのた めに,生体システムの特徴である複数の現象の相互関連を総合的 に把握する方法と生体現象の非線形性,個別性,経時変化やその 環境条件を表現する数学的方法の研究を行っている。また,生体 の機能制御における個体差,経時変化による不確定性に対処する ために,個別性と同時に客観性を備えた操作方法と対象の詳細を 把握し得ない生体の機能の適応的制御法の研究を行っている。

生体情報計測に関する研究

これまで扱えなかった生体の評価にとって重要な質的な量を 数量化する理論的研究を行い,生体情報の特徴である微量な物質, 漠然とした心理量や経時変化,個体差による評価の違いを明らか にすることを試みている。また,生体機能形態測定,生体構造測 定,検体測定に必要な基礎情報の計測技術として,生体からエネ ルギ−を殆ど取り出さずに,その内部状態に影響を及ぼさない計 測を保証する新しいセンサ−の開発とインテリジェント化および 数学的処理法の研究を進めている。さらに,これらを組み合わせ ることによって,目的に適合した自動化測定機器,計測システム の開発を行っている。

医療情報処理に関する研究

医学分野の情報の利用の自動化と大規模化のために,コンピュー タを積極的に利用した情報処理を行い,情報の収集,蓄積,処理, 結果の出力などの情報処理の効率化と質の向上を図っている。す なわち,情報の評価,質的データの数量化,データの取捨選択, データ圧縮,データの加工,情報の蓄積・検索・保護管理,通信 による情報の活用法や実際の臨床検査・画像診断データなどの個 人データの管理と共通利用化に関する研究を行っている。そのた めに,専門家の知識の蓄積と最新の医学知識の利用の一環として, 自動問診・自動診断エキスパートシステムや医療コンサルタント システムなどを開発を進め,同時に,画像処理・認識および自然 言語理解,意志決定など知的能力のメカニズムを解明し,将来の 人工知能研究の糸口を見い出す研究を行っている。また,適切な インターフェイスと通信装置を用いて検査機器のオンライン化や マニピュレータによる検体採取の自動化や試薬などの自動注入に より検査データの蓄積可能な無人化技術を開発し,検査過程の完 全自動化を図っている。このために,種々の制御技術を駆使して, 検査システム全体を電子計算機を用いて管理するとともに,その 異常の発見や故障診断の方法の研究も行っている。

研究成果の応用・実用化への研究

上記の趣旨のもとに具体的には,生体の本質的特質である時変 性,非線形性を念頭に置いたシステム制御理論の研究,ファジイ, グレイ予測理論の研究,眼球運動系など生体機能のハードウェア化 と産業への応用を行っている。同時に生体調節系の積極的な制御と 医療への応用として,人工呼吸装置の開発と人工呼吸の自動管理の 実用化の研究や3次元仮想物体の切断に関する人工現実感と手術訓 練などの医学応用を行っている。また,通信回線を用いた痴呆性老 人の健康管理と安全確保のための電子保護システムの開発,痴呆性 老人の精神機能訓練のためのゲーム機の開発,老人の生活支援シス テムの開発を行っている。さらに,公衆通信回線網を用いた新しい 調査法の研究とその応用としての食習慣と子供の身体・精神との関 連の調査研究や,小動物の生理情報の並列実時間連続測定と薬品・ 生理活性物質の自動生物検定システムの開発および対話形式による 問診システムの開発も行っている。


機能支援システム学 - 2003年3月14日更新 - ご意見ご感想はこちらへ